奴隷と悪魔



 深君の優しさに甘えたんだね、私は。


 あの時深君と出会わなければ、深君を傷つけずにすんだ。


 私が泣いてたりなんてするからだ。


 
 ・・・ううん。


 今悔やんでも意味がない。


 深君に謝らなきゃ。



 私は携帯で深君に電話をかけた。


 深君はすぐにでた。


『どうしたの?』


 深君の声で、私は少し戸惑った。


 こんなにやさしい人と別れていいの?


 まだ茉里唖が私のこと好きって決まったわけじゃないんだよ?


 もしかしたら思いっきり嫌われてるかも。


 それでも深君と別れるの?


 ・・・。


 でも・・・。


 それでも私は茉里唖が好きなんだ。


 茉里唖と一緒にいたいんだ。


 嫌われててもいい。


 芭衣ちゃんみたいな努力なんて私はひとつもしてないんだから。


 それくらいの努力はしなきゃ。



「今から会える?」


 私は思い切って深君に言った。


『・・いいよ』


 深君は、静かに言った。


 もしかしたら、もう悟ってるかもしれない。


 私が別れようって言うのを。




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