奴隷と悪魔
深君と会う約束をした公園。
深君の姿はまだない。
暗い。
そりゃぁ当たり前かぁ。
もう夜の11時30分くらいだもんね。
「美衣菜!」
深君の声・・・。
「ごめんね。こんな夜に呼び出して」
「ううん。でも美衣菜熱あるんだよね」
「あっえっとうん。でも大丈夫。話聞いて・・・」
私は心の中で、どうやって言おうか考えた。
深君を傷つけずにすむ方法はないか。
でも、なかった。
考え付かなかった。
私がだまっていると、深君が話しかけてきた。
「美衣菜?」
少し心配したカンジ。
どうしよ。
「えと・・・」
考えていると、涙がでてきた。
「・・・どうしたの?」
「ご、ごめんなさいっ・・・」
私が泣きながら謝ると、深君は少し無言になった。
でも、ちょっとしてから話し始めた。
「やっぱり・・芥川が好きなんだよね?」
「ごめんなさいっ・・・ヒック・・・」
「ううん。利用してもいいっていって付き合ったの俺だし。美衣菜の気持ちもわかってたから」
「ごめんな・・・さい・・・っヒクッ」
謝ってばかり。
「ねぇ笑ってよ?謝んなくていいよ」
「ごめ・ヒック・な・・」
「だめ」
そういって、深君は私の口を手でふさいだ。
私はまだ泣いている。
「謝られると、ちょっと困るよ。だからさ、笑って。ごめんっていうなら、『ありがとう』って言って?」
「え・・・?」
「ありがとうなら聞くよ」
「・・・っ・・・ヒクッ・・・」
「もう泣かないで」
「・・・あり・・・がとう・・・。ありがとう!深君・・・ヒクッ」
私は精一杯の笑顔をみせた。
「うん。俺も・・・ありがとう。」