奴隷と悪魔



 私は精いっぱい抵抗した。


 でも茉里唖の力が強すぎて全然離れられなかった。


 なんなの茉里唖は。


 私のこと好きでもないのにそんなこと言わないでよ。


 私はもう茉里唖のことは忘れるの!


 茉里唖と私が一緒にいたら、茉里唖がだめになっちゃう。


 だから茉里唖


 手を放して・・・。


「ヒクッ・・・」


 私は泣きだした。


 茉里唖は少し驚いてるけど、私の腕を掴んだまま。


 そして次には、茉里唖は私を抱きしめた。


「やだっ・・・」


 私が嫌だといっても離してくれない。


 
 なんで?


 なんで・・・?


「・・・離さない」


「嫌だ・・・!私は茉里唖が嫌い!大っ嫌い!だから離して!」


 私が大声でいうと、茉里唖はスッと手を離した。


 嫌い・・・なんていうつもりなかった。


「ごめん・・・」


 茉里唖は屋上に戻った。


 嫌いじゃない。


 嫌いなんかじゃっ・・・。


 でも私はひどいから。



 茉里唖のことは嫌いじゃない!


 まだ忘れられない。


 こんなにも。


 こんなにも『好き』って想うの。


 でも、その気持ちは私にはあったらいけないものなの。


 だから


「ヒクッ・・・。ヒクッ・・・」


『嫌い』って想うしか


 ない。


「う~~~・・・っ。ヒクッ・・・ヒクッ・・・。ぅう・・・」


 私はその場に座り込んだ。




 壁越しには、茉里唖がいた。


 茉里唖は壁によりかかって座り込んでる。


 私も壁によりかかって座り込んでる。


 ・・・すれ違う心。


 私は茉里唖が好き。


 でも私は茉里唖を好きでいてはいけない。


 この恋は


 なかったことにしなければならない。

 
 私の想いはすべて。


 全部なかったことに・・・。






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