小悪魔な私
勇気は私を通り過ぎて上に戻ろうと階段の方に歩き始める。


「………勇気」


気が付いたら、私は勇気の手首を掴んでいた。


勇気は振り返らないで聞く。

「なに?」

「…ご……ごめんなさい…」

「もういいよ!」

「そうじゃなくて……」


私はさっき拭ったはずの涙がまた溢れ出していた。


「……あの時の…事…」


勇気がゆっくり私の方に振り返る。


「…ヒックわた…し……ヒックゆうき…ヒックに…いいヒックすぎ……て…ヒック」

私は涙と嗚咽で声にならない…

でも、伝えなきゃ。。。





「もう、分かったから」


そう言って勇気は少し笑ってから頭を撫でてくれた。

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