小悪魔な私
「この前も……勇気君が助けてくれたんでしょ?」

「この前…?ああ、あの時の……」


イジメの事かな?
心配させたくないから、お母さんには内緒にしていたんだけど……


「なんで…知ってるの?」

「あんたね~何年母親やっていると思ってるの?帰って来た声を聞いたら分かるわよ。それに…」


さ…さすがお母さん…


「それに??」

「担任の先生から連絡が有ってね。」

「よりお君から?」

よりお君とは、私達の担任の関よりお先生。
背が低くて動く姿がコミカルだからよりお君になったのだ。


「そう、詳しく話を聞くと西條勇気君って子が、『雫が心配だから両親には必ず伝えて下さい!』って関先生の所に怒鳴り込んできたんですって。」


私は勇気を見た。


勇気は相変わらず淡々と紅茶を啜りながらお母さんの話を聞いている。


そんな話一言も勇気から聞いていないよ……


「そんな正義感溢れる子がまだ居たのね~って感心しちゃったわよ。

お母さん、勇気君になら安心して任せられるわってその時思ったもの。

昔からあんたは貧乏クジばかり引かされてるからね……」


そう言って私の頭を撫でるお母さんは、いつの間にかお母さんの顔をしていた。


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