小悪魔な私
蜃気楼?幻想?


私の目の前の人は……勇気だよね?



溢れ出す涙を気にせずに



「バカ!遅いよ!!!」




と叫びながら、勇気の胸に飛び込んだ。





久々の勇気の胸は、とっても広くて温かかった。


私をしっかりと包み込む腕も、勇気の匂いも凄く懐かしくて落ち着く。



「ごめんな。又泣かせちゃったよ」



そう言うとより強く私を抱きしめた。




「……もう…離さないから…」




心地良い低音が私の体に響き渡る。




私は勇気の胸の中で頷く。




―――もう、離れないからね。




「……居なかったら…どうしようかと思ったよ」



弱々しく呟く勇気。


勇気を見上げると、真っ赤になりながらそっぽを向いていた。
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