小悪魔な私
勇気は制服を直しながら、ポケットから小さな箱を取り出した。



「はい」



そう言いながら私に箱を押し付けてくる。

ぶっきらぼうだけど、それが勇気の優しさなんだよね。



私は小さな青色の箱を受け取り


「開けて良いの?」


と聞いた。



勇気は黙ったまま頷く。

私は、ゆっくりとリボンを外し、フタを開けてみた。


中にはもう一つ箱が入っていていた。

中の箱を開けてみると、キラリと光るシンプルな指輪が一つ入っていた。


私が固まっていると、勇気がそれを取り出して私の右手の薬指に付けてくれる。


「お揃い」


そう言って勇気は自分の薬指を見せた。

勇気の薬指にも全く同じ指輪がキラリと光っていた。


勇気がそんな事してくれるなんて思って無かったから、私はびっくりして動けないで居た。


勇気はそんな私を見て


「気に入らなかった?」


って私の顔を覗きこんだ。


慌てて否定する。


「ち…違うよ……嬉しくて……」


みるみるうちに勇気の表情が柔らかくなる。

勇気は私の頭をよしよしと撫でながら


「少しでも雫に安心して貰いたかったから」


なんて言うの。


そんな事言われたら泣いちゃうよ。。。

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