小悪魔な私

「健太のお家の事情知ってる？？」


お家の……事情…？！？！


雫はゆっくり話しはじめた。

「健太んちね、母子家庭なのよ。で、おばあちゃんとお母さんと３人暮らし」

「それは聞いたことあるよ。」


今度は乙葉が話を続ける


「で、そのおばあちゃんが痴呆症になってしまって、お母さんが看病していたの。でも、今度は看病していたお母さんが看病の疲れで倒れてしまって、今は健太が家庭を支える為にバイトして看病してって助けてるのね。」


「介護って意外と大変みたいでさ…健太も結構いっぱいいっぱいみたいなんだって。」


あの健太が……


お調子者で、苦しい顔なんか見せたことが無い健太が……


こんな事情があったなんて……



だからあの時に見せた悲しそうな顔。。。


自分ではどうにも出来ない状態。。。



今なら

『……ごめん…今は無理なんだ…』

って言葉も納得できるよ。


私はうずくまるようにして泣きじゃくっていた。

雫と乙葉は私の背中を擦りながら丸くなって３人で泣いた。