小悪魔な私
私は振り返らずにとりあえず走った。

ゼーゼーしながら立ち止まる。
こんなに走ったのは何年ぶりだろうか……


急に携帯が鳴る。

勇気からだ!


―――ドキッ


鼓動が速くなる。



迷ったあげく通話ボタンを押した。



「早く取れよノロマ!!」

いきなりの怒鳴り声。

「なによ……」

私は泣きそうな声で言った。

「どこにいる」

「……橋のそば」

「待ってろ」


そう言って勇気は一方的に電話を切った。


……怒ってるのかな?!

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