空は見えますか
そんな中新年を迎え、他人から見たら 私達は立派な゛家族゛だった。
私は通信制の大学に通っていたが、妊娠・出産の為休学をしていた。四月から最終学年への復学を希望し、尋斗からも了承して貰っていたが、授業にはあさひを連れて行こうと思っていた。

だけど、私の体調は良くなかった。相変わらず痛みは治まらず、毎日下を向いて這いつくばるか杖を持って歩くようになっていた。
でも、知り合いにはバレないように普通の振りをしていた。

そんな折り、私は入院することになった。子供がいると言う事で無理矢理短期にして貰ったが、治療は一日中点滴をするだけだった。だけど、私はそれだけでも痛みが和らぎ その時だけは本当に自分に戻った気がした。

入院している患者さんには同年代の人は全く居なかった。
それだけ私の病気で、早い発症の人は居ないんだと認識させられた。

自宅に戻れば、またあの痛み・地獄が襲ってくるのかと思うと考えたくなかった…。だけど、あさひの顔を一秒でも早く見たくてたまらなかった。


でも尋斗はマメにあさひの写メを送って様子を教えてくれて、私はわずかに安心した。

同じ病室の50代くらいの患者さんが言った。
「今日はお月様が綺麗だねぇ。」
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