世界から


「何も・・・何も知らないあなた達に話すことなんて、」
「そうか、なら・・・いいんだが」
そう言ってシオンは歩き出した

歩く途中でわざと少女に聞こえるように、シオンは
「明日の午後には・・・この国を出ようか、リク」
リクに話した
「え、あ・・・うん」

少女はその話を聞いて少し考えこんでいた
「あ、あの・・・」
少女はシオンたちを呼び止めた
「・・・まだ、何か?」

「話す、だけ・・・なら」
少女は俯きながらそう言った
「そうか、なら・・・聞くだけ・・・聞いてやるよ」
シオンは少女に向かって、そう言った


「私ね、音楽家のタマゴなの」
「へえー、何の楽器を弾いてるの?」
リクが聞いた。少女は
「・・・ピアノ」
少しの沈黙の後、嬉しく無さそうに答える


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