世界から

「私を必要としている人なんてどこにもいないの、皆が必要としているのは“私の弾いているピアノの音色”。だから、ピアノを弾かない私には存在する価値なんて無いの」
「そのエリオって子にも同じことを?」
シオンが聞いたら、少女は頷いた

「なら、とても怒った・・・若しくは悲しんだだろうな、きっと」
少女は驚いた顔をして、
「どうして分かるの?」
シオンに聞いた

「こればっかりは、自分で考えな」
「・・・・・・」
少女は黙っていた

「さて、話の続きを」
シオンが促して、少女は話を再び始めた

「エリオが、捕まっちゃったの・・・。私のせいで、私が余計なことを言ってしまったから・・・」
「余計なことって?」
リクが聞く。少女はまた泣き出しそうな顔と声で答えた

「私、歌を歌いたいの・・・って」
「それだけ?」
少女はリクの問いに対して、首を上下に振って答えた

< 46 / 62 >

この作品をシェア

pagetop