君の声が聴こえる。
疎外感から解放される喜びで胸が高鳴っていたのだが、声が醜いのを思いだした。
辺りを見回して紙となにか書けるものを探す。
テーブルの隅にアンケートがあるのを思い出し、位置を大幅に移動した。
しかも、森田の前。
私が森田に気があるみたいじゃないか。
アンケートを取り出して一緒に置いてあった文字を書く。
『ケータイについてるキーホルダー持ってる。』
森田の肩を叩いて書いた紙を見せる。
紙に目線を向けると静かに字を書き出した。
『なんで、しゃべんないの。』
紙をスッと私の前に置くとまたケータイに目を落とした。
はるかに私より字が綺麗で、なんかむかついた。
『声が酷いんだよ。声出したくない。』
森田は紙を見ると口を開いた。
「紙に書くのめんどいからメールにしてくんない。」
そして、自分のアドレスを新しいアンケートの裏に書いて渡してきた。
…本当にケータイが友達なんだ。
もらった紙のアドレスを登録してメールをした。
『ゆうりってどおやって書くの?』
『優璃』
返信がものすごいスピードで返ってくる。
『字だけだと女みたいだね。』
『よく言われる』
なんか、こいつとメールしてると疲れる。
疲労と眠気に負けて寝ようと思ったが
「じゃあ、おひらきしようか!!」
の声が聞こえると立ち上がり、篤那の側へ言ってアイコンタクトをとったが
「ごめんっ!園田君が送ってくれるって…」
上目使いで見てきたので首を縦にふるしかなかった。