君の声が聴こえる。
とぼとぼと寂しい背中がなぜか2つ。
森田が私の後をついてきているのだ。
『ストーカーですかね。』
声が出ないのでメールで尋ねる。
『家がこっち』
さっきからこの調子で、あと少しで私の家なんですけど。
嫌な威圧感を感じながら家が目の前になった。
『私の家ここだから。じゃね』
森田の顔を見るとケータイから目をはなして手を振っていた。
意外といい奴じゃん。
家はやはりだれもいなくて冷たい。
自分部屋の窓から外を見ると森田は逆方向へと歩いていた。
馬鹿だな…
家の方向違うのに。
『ありがとう。』
早くは返ってこなかったが
『いーえ』
と返ってきた。