君と出会って
ホンの少し、不安が胸を過ぎる。

「あ、彼女、何年か前からチームのレースクィーンをしていましたよね?」

「うん、ウチみたいなチームは女の子雇えないから、知り合いだった妻が前からしてくれるから助かっているよ」

どちらにも不快感を与えないように俺、必死。

なんで、レース以外でこんなに神経を使わないといけないのか…

「うーん!!」

抱いていた睦海がぐずり始めた。

よし!睦海、お前はパパ想いな子だ。

「じゃ、この辺で」

俺は睦海をあやしながら巽さんと別れた。



「そーちゃん、今の人は?」

真由は横に並んで俺を見つめる。

疑惑をその目に浮かべて。

「昔からのファンの人」

軽く流す。

真由もそれ以上は言わない。

ただ、黙って歩いた。
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