君と出会って
体中に心地良い緊張が走る。

チアホーンの音があちこちから聞こえて、ふと空を見上げる。

いい天気だ。

雲一つない。



磨きあげられたマシンにそっと手を置いて精神統一をする。

頼むよ、相棒。

光を受けて輝くマシンに目を細めた。



「そーちゃん」

真由がコース上から離れる時、俺を呼んだ。

「無茶だけはしないでね」

俺は軽く手を挙げて了解、とサインを送る。



ウォームアップランではいつもとは違う緊張が全身を包む。

1周、タイヤの温まり具合などを色々試してスタートポジションに戻る。



大きく肩で息をする。

どうか、無事に走りきれますように。



シグナルが青に変わり、アクセルを開けた。
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