君と出会って
この日の隆道は調子が良かった。

ピッタリ後ろに付かれて俺の隙を狙っている。

嫌なパターンだ。

こういう時は決まって後ろに付いている奴の方が余裕を持っている。

最後の1周までピッタリと付かれて…

最終コーナーで抜かされた。



ヤラレタ…



俺は自分の太股を叩いて悔しがった。

久々に優勝出来るかと思っていたのに…



ゴールしてコース内をゆっくりと走ると。

あちこちから大声援が聞こえる。

チームのフラッグが振られているのを見て俺も手を振る。

ゆっくりとピットに戻ってきた。



「そーちゃん、凄いバトルだったよ!」

興奮気味に至が声をかけてくる。

マシンから降りてヘルメットを脱いだ。

俺は悔しくて仕方がなかったのに。

周りは絶賛の嵐だった。
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