君と出会って
相変わらず、この川沿いはのどかで。

また桜並木も毎年の事ながら綺麗だった。

「高校にも…」

真由が突然、口を開いた。

「校門前の坂の両側に桜が植えられていて、綺麗なんだよ」

懐かしそうに真由が呟く。

「そうなんだ」

きっと、その風景には。

拓海がいるんだろうな。

真由の少し複雑そうな表情を見ていると、そう思う。

「行ってみる?」

その言葉に真由は驚いて

「えっ?でも…」

「俺も真由が行っていた高校を見てみたい」

そう言って笑みを浮かべると真由も嬉しそうに頷いた。
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