彼女が天国にさらわれました。


勤務時間もそろそろ終わりに近づいた頃、携帯のバイブが鳴った。

携帯を取り出し、サブ画面を見るとメールで「山田高成」と出ていた。


帰り支度をしながらメールを開く。


『今日久しぶりに飲みいかねー?お前とずいぶんの間会ってねーしさー』


飲みの誘いか、丁度いい、家に居ても要らん事を考えるだけだ。


『いいぞ、そのかわりお前のおごりで、もう会社出るからいつもの飲み屋に居ろ』


そう打ってメールを送り、コートを羽織った。


「お先失礼します。」

「はーいお疲れさまー」


そう言われて、会社を後にする。
帰り道はやけにカップルが多くて、優里が居たら俺だってお前等みたいにできるんだぞっと思いながら駅に向かう。


家の近くの飲み屋のため、また満員電車に揺られ、地元に着く。


駅から近い飲み屋に真っ先に向かい扉を開ける。



「よっ久しぶり。」


ビール片手にそういう高成は高校時代からの親友、優里とのこともこいつがよく知ってる。


高成の前に腰を下ろし、ビールを頼んでからコートを脱いだ。


「久しぶりだよな、最近全然会って無かったもんな!」


ビールを煽りながら笑って俺に言う高成。

悪いが今はお前のテンションに付き合う自信は無い。


「あぁそうだっけか、でも確かにしばらくぶりだな。」


「そうだよな!そう言えば優里ちゃんとはどうなんだよ!」



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