彼女が天国にさらわれました。


それから何の変わりもなく過ごし、今日は優里の火葬。

優里の友人、親戚やら集まって火葬は泣き声だらけだった。


優里の棺桶を見下ろす。


「優里…。」


もちろん返事は返ってこない。

なんら変わり無い優里の姿。

けれど死んでいる。


笑ってほしい、あの屈託の無い笑顔で。
笑ってほしいんだ、笑顔が見たいんだ。

『結』ってそう呼んで欲しいんだ。


「ちくしょう…!」

ガタッ!


「結くん…」


優里の頬に触れた後、俺は優里の棺桶が乗ってる台を蹴飛ばした。

雅子さんが俺を心配そうに見つめているが、俺にはそんなのどうだっていい。
優里が生き返ってくれればそれでいいんだ。


「なんで死ぬんだよ!なんで…」

優里の頬を何度も撫でながら、俺の言葉は静寂に飲まれていく。


「結婚しようって言い出したの、お前じゃんか…置いて逝くなんて卑怯だよ…ふざけんじゃねぇよ…」


ただ周りの人はその光景を見て、涙を流す。


泣けない、辛すぎて、重すぎて。

泣けない。


その後、優里の遺体は焼却炉へと運ばれ火がつけられた。


優里は今、骨になる。


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