何処までも黒は、長く
「……しかも、後ろから急に抱き締められて、グサッとやられたらしいよ?」
「…あやちー、勝手に脚色しないでって。私、刺されてないから。その前に目ぇ覚めたから。」
「そうだっけ?」
私は思わず、溜め息を吐く。
「……随分また、怖い夢見たんだな。眠れない程キツいんだったら、もっと相談した方が良いよ。俺なら、早朝でも電話かけてきて良いから。」
ポンポンと私の頭を軽く叩き、ニコッと笑う相馬。
…………何だか、ドキッとした。
「あ、やべ。俺、コーヒー買うんだったわ。ごめん。」
そう言って、相馬は教室を出て行った。
「…相馬 優しいですねぇ、ゆっきー。」
あやちーが冷やかして言ったが、私は返事が出来なかった。
.