クライシス
一人の一課の古参刑事が立ち上がった。


「待ってください、犯人隠匿は充分な理由や無いですか!」


その言葉に全員が頷く。


「そうや・・・が・・・」


赤木が苦しそうに答える。


川村が代わりにマイクを取った。


「相手の団体は・・・言わば、北朝鮮における大使館に匹敵する団体です・・・それに裁判所は二の足を踏んでいるのでしょう・・・」


川村の言葉に全員が納得はしないが・・・理解をした。


大使館には日本の警察は立ち入れ無い。


「でも、相手は大使館とちゃいます!」


別の捜査員が言う。


「ですが・・・その団体を大使館と同様に扱う習わしに成っている・・・」


「だが、その団体に過去に令状が出た事も有りますよ!」


川村の言葉に他の捜査員が言う。


「有ります・・・だが、それは団体その物の不正が有ったからです・・・!」


川村が拳を握り締めて答える。


彼も悔しいのであろう。


全員が黙る。


何故こんな所でつまずく?


確かにあの団体は日本において腫れ物の様に扱われている・・・


だからと言って、こんな緊急事態に・・・


全員がそう思っていると、突然声が上がった。


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