クライシス
「チェは北朝鮮でも、かなりのタカ派で有名で、一番の愛国者だ。だが、中々謎のベールに包まれているがな」
二谷が言う。
「そこで私が考えたのは、今回テロを進めている人物は、このチェじゃ無いかと思うんです」
雄介の言葉に二谷が頷く。
「かも知れんな。その可能性は有るな」
二谷がそう言うと黙って聞いていた三宅が呟いた。
「チェ副委員長は、そんな人じゃねえ」
呟いた言葉は日本語だった。雄介と二谷が三宅を見る。三宅は気が付いた様に顔を上げると「ちょっと朝飯でも食ってくる」そう言って部屋から出て行った。
「なんスか？」
雄介も思わず日本語を使ってしまう。
「まあ、奴からしたらチェは尊敬する人物なのかもな」
二谷もそう日本語で答えた時に、木下が入って来た。
「おはよう」
木下はそう言うと軽く足を引きずった。
「足大丈夫っスか？」
雄介が尋ねる。
「まあ、かすり傷だが軽く突っ張るんだ」
木下は笑いながら言った。
「まあ、無理してマラソンには参加しない方が良い」
二谷が笑いながら言う。
「マラソンに出る予定はありませんが？」
木下は真面目に答えた。二谷と雄介は顔を見合わせて、苦笑いを浮かべる。
「あれ？三宅は何処に？」
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