クライシス
木下が周りを見る。
「朝飯を食いに行きました」
雄介がコーヒーメーカーでコーヒーを入れた。
「ふむ。まあ、良いか。先に言います。北朝鮮へ渡る日程が決まりました」
二人は木下を見た。
「昨日、豊中の捜査本部が逃走していたキムを逮捕して、テロの予定日を聞きました。一月十日です」
雄介の喉が鳴る。
「やはり、韓国大統領の来日に合わせて、か」
二谷が呟いた。
「そして、場所はやはり大阪です」
雄介は胸がドキドキして来た。
「キム自身も実行犯が誰かは分からないみたいです。なのでとにかく、我々は抗ウイルス薬を手に入れる事が最優先課題となりました」
木下がそう言うと二谷は黙って頷いた。雄介の手には汗が出ている。
「色々な準備を考えた結果、最短で出発は二十五日の夕方になります」
木下の言葉に、雄介の足が震え出した。












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表紙・目次

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