クライシス
十二月二十三日十四時二十分兵庫県西宮市
『んじゃ行こうや』
電話の向こうから高田の声が聞こえる。
「ええ……うん……」
由香は曖昧に返事をする。
『彼氏と連絡つかへんねやろ？もうエエんちゃう？』
高田はそう言って少し笑う。
由香は祝日の今日は家に居た。
最近、全く雄介からの連絡が無い。最後に「仕事でしばらく連絡が取れない」と言うメールから全く連絡が無かった。由香からメールを送っても返事が無い所か既読も付かない。
もう、終わりかな……。そんな事を考えている矢先に高田から電話が掛かって来た。
高田は同じ会社に勤める二十八歳の人だ。仕事が出来る人で有り、他の女の人からも人気がある。
『だから、彼氏彼女がおらん連中で飲みに行こうってだけやん！』
高田は軽いノリで言う。
明日のクリスマスイブに飲み会をするから来ないか？と言う誘いであった。
クリスマスには雄介が帰って来ると、以前言われた。だが、全く雄介からの連絡が無い。その事を高田が聞いたらしく、電話を掛けて来た。
「うーん……。分かった。じゃあ、行きます」
由香は高田に根負けしてそう言った。
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表紙・目次

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