クライシス

『ちゃんとパスポートには偽造の渡航記録も有る。そして、俺達は足跡を消す為に、そのままイギリスに渡り次に中国へ行く。そこで初めて三人落ち合って北朝鮮に入る。その間三日だ』
三日も飛行機に乗りっぱなしだ。三人は丸々地球を一周して北朝鮮に入るのだ。
『北朝鮮に滞在できる時間は五日間。二十八の昼過ぎに到着後、年明けの元日に日本に戻らなければ成らない。元日の日に、アメリカ国務省東アジア担当のセレス次官が北朝鮮を訪問する。その専用機に同乗させて貰って日本に戻る。以上だ』
雄介は頷いた。
『それでは、今から中国まで連絡が取れない。みんな、中国で三日後に会おう……！』
それだけ言うと二谷は通信を切った。
ヘリは関空に着陸する。
雄介は一人、関空で出国手続きを済ませてロス行きの飛行機に乗り込んだ。
窓の外には空港が見える。
ポーン、と言う音と共に機内アナウンスが流れて、出発する旨が伝えられた。飛行機はゆっくりと後進して、メインの滑走路に向かう。
雄介が座る場所から海が見えた。その海の向こうには淡路島が見える。
飛行機がメインの滑走路に到着すると、向きが入れ代わり。今度は空港が見えて、その向こうには大阪の街が見えた。