クライシス
逃走
―― 十二月三十一日十六時四十五分 北朝鮮平壌市内――
街にサイレンの音が響いていた。
雄介は研究所から飛び出すと近くの公園に隠していた服に着替えた。そして、土木作業員が着る作業服で街を歩く。
雄介が歩く隣を保衛省のパトカーが走って行く。もう既に保衛省が動いている様だ。だが、ゆっくり慌てず、駅に向かった。
駅で切符を買う。そして、列車に乗り込んだ。
列車は順川と言う街に向かう。そこがセレス次官との待ち合わせ場所であった。
中を見渡すと特に怪しい人物は居ない。雄介はホッとした。
その時に成って、ふと三宅や二谷の事を思い出した。二谷はともか、三宅は……。雄介は下唇をかみ締めた。
必ず、必ずこの化学構造式を日本に持って帰る。そして絶対に二谷や三宅を北朝鮮から取り戻す。そう決めていた。
列車は平壌市内の町並みを通り過ぎて田舎に入っていく。雄介はいつもの癖でドア越しに立っていた。
列車はトンネルに入った。ゴオオオと言う音を立てて列車は進んで行く。
ふと、何か違和感を感じた。何だ……?トンネルに入り外が真っ暗に成った為に、窓ガラスに車内が写し出されていた。
街にサイレンの音が響いていた。
雄介は研究所から飛び出すと近くの公園に隠していた服に着替えた。そして、土木作業員が着る作業服で街を歩く。
雄介が歩く隣を保衛省のパトカーが走って行く。もう既に保衛省が動いている様だ。だが、ゆっくり慌てず、駅に向かった。
駅で切符を買う。そして、列車に乗り込んだ。
列車は順川と言う街に向かう。そこがセレス次官との待ち合わせ場所であった。
中を見渡すと特に怪しい人物は居ない。雄介はホッとした。
その時に成って、ふと三宅や二谷の事を思い出した。二谷はともか、三宅は……。雄介は下唇をかみ締めた。
必ず、必ずこの化学構造式を日本に持って帰る。そして絶対に二谷や三宅を北朝鮮から取り戻す。そう決めていた。
列車は平壌市内の町並みを通り過ぎて田舎に入っていく。雄介はいつもの癖でドア越しに立っていた。
列車はトンネルに入った。ゴオオオと言う音を立てて列車は進んで行く。
ふと、何か違和感を感じた。何だ……?トンネルに入り外が真っ暗に成った為に、窓ガラスに車内が写し出されていた。