クライシス
―― 一月三日十一時一分 北朝鮮南東部海岸線――
 雄介は車の陰に隠れて、保衛員が撃ってくる銃撃をかわしていた。車の窓ガラスが割れて、弾が耳元をかすめる。
 まだか!雄介は心で叫んだ。本当に来るのか?
 雄介は車の陰で小さくしゃがみ込み、銃弾をかわす――その時であった。
 バババババ……と言う音が響き、漁村の南側に有る山の上から、ヘリコプターが現れた。そして海上をゆっくり旋回しながら、雄介の目の前の海上でホバリングする。
 その瞬間、雄介の目が大きく開いた。そのヘリには見覚えのある、白地に赤の丸が描かれている。それは……日の丸の旗――そう、自衛隊のヘリだ。
 保衛員が攻撃を辞め茫然とそのヘリを見ている。雄介は立ち上がった。そして、ヘリの元に、駆け出した……!






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