クライシス
雄介は警察病院の一室のベッドにいた。外傷があった為に念のため入院と成ったのだ。
 昨晩十八時に入院して、簡単な治療だけすると後はずっと眠っていた。久しぶりに安心して眠れた。
 だが、流石に十四時間程眠ると目が覚めた。起きた時に、日本の病院なのでホッとした。
 起きて朝飯を食べたら暇に成って来たが、退院は今日の十五時だと言う。
 それまで、どうすれば良いんだよ。雄介がそう思っていると、部屋のドアがノックされた。
「はい」
 入って来たのは、楠木だった。
「楠木教授!」
「元気そうで、何よりです雄介。フォフォフォ……」
 相変わらず、気味が悪い笑い方をする人だ。雄介は思った。
 楠木は雄介のベッドの隣に腰掛けると右手を差し出した。
「お勤め、ご苦労様でした」
 楠木が呟く。雄介も右手を差し出して握手をした。
「ありがとうございます。教授が、進言してくれたらしいっスね、俺を助けるように」
 雄介が言うと楠木は笑った。
「なあに、ただ君が抗ウイルス薬の複製作業をしたいだろうと思いましてね」
「あ、どうなったんですか?」
 雄介が尋ねた。
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