クライシス
―― 一月七日九時十五分 大阪府大阪大学――
阪大の実験場で、白い宇宙服の様な防護服を着た者達が作業をしていた。
「教授、これで?」
防護服に身を包んだ雄介が楠木に尋ねる。楠木が頷いた。
雄介は慎重にビーカーに入った液体を撹拌する。防護服のシールドから雄介の真剣な目が光っていた。
「これで、後は結果待ちですね」
楠木がそう呟くと周りを見た。
「さて、休憩にしますか」
楠木の言葉に全員が頷く。皆が実験室を出て、慎重に殺菌消毒を行った。
雄介と楠木は楠木の研究室で抗ウイルス薬の複製作業を行っていた。彼の研究室が一番備品が揃っている為だ。また、現在大学が冬休みなのも好都合だった。
だが、中々上手くいかない。肝心な部分の構造式が暗号化されている。簡単に複製が出来ない為だ。
これは通常の構造式でも同じだ。基本的に企業秘密となる化学構造式には暗号がある。それを何とか様々な実験で解明をする。
「ふうー、疲れた」
雄介が研究所の休憩室のベンチに腰掛けた。そして缶コーヒーを飲む。中々上手くいかずに疲れてはいるが、自分の趣味をしている様な物なので楽しい。時間の限りが無ければもっと楽しいのだろう。
だが、時間がない。テロ決行日の十日まで、あと三日しかない。万が一に備えて雄介は抗ウイルス薬の複製を行わなければならない。
「市橋くん」
楠木教授の研究室の助教授が雄介の所に来た。
「はい」
「君にお客さんだ」
助教授の言葉に雄介は首を傾げた。客?誰だ?雄介はそう思いながら彼の後に付いて行った。
阪大の実験場で、白い宇宙服の様な防護服を着た者達が作業をしていた。
「教授、これで?」
防護服に身を包んだ雄介が楠木に尋ねる。楠木が頷いた。
雄介は慎重にビーカーに入った液体を撹拌する。防護服のシールドから雄介の真剣な目が光っていた。
「これで、後は結果待ちですね」
楠木がそう呟くと周りを見た。
「さて、休憩にしますか」
楠木の言葉に全員が頷く。皆が実験室を出て、慎重に殺菌消毒を行った。
雄介と楠木は楠木の研究室で抗ウイルス薬の複製作業を行っていた。彼の研究室が一番備品が揃っている為だ。また、現在大学が冬休みなのも好都合だった。
だが、中々上手くいかない。肝心な部分の構造式が暗号化されている。簡単に複製が出来ない為だ。
これは通常の構造式でも同じだ。基本的に企業秘密となる化学構造式には暗号がある。それを何とか様々な実験で解明をする。
「ふうー、疲れた」
雄介が研究所の休憩室のベンチに腰掛けた。そして缶コーヒーを飲む。中々上手くいかずに疲れてはいるが、自分の趣味をしている様な物なので楽しい。時間の限りが無ければもっと楽しいのだろう。
だが、時間がない。テロ決行日の十日まで、あと三日しかない。万が一に備えて雄介は抗ウイルス薬の複製を行わなければならない。
「市橋くん」
楠木教授の研究室の助教授が雄介の所に来た。
「はい」
「君にお客さんだ」
助教授の言葉に雄介は首を傾げた。客?誰だ?雄介はそう思いながら彼の後に付いて行った。