クライシス

河野は少し顔を上げた。


木下を見ると、再び顔を下げた。


何かを言いたそうであった。


「局長・・・」


木下が気が付いて河野に言う。


河野はしばらく黙ったが・・・観念した様に口を開いた。


「二谷・・・二谷修二と言う男を・・・知ってるか・・・？」


突然の河野の言葉に木下は首を傾げた。


「聞いた事がある名前・・・では有ります・・・」


「２０年以上昔に、チヨダにいた人間だ・・・」


「はあ・・・」


「『キジ』の運営者だ」


その言葉に木下はビックリした。


キジの名前は聞いた事がある・・・


マルトク・・・情報提供者の中でも、トップクラスのランクだ。


マルトクレベルＡである。


つまり、殆ど相手の国家の中枢に居る人間と言う事である。


キジは北の国の幹部の者と言われていた。


素性は謎だが、キジのもたらす北の国の情報は日本に取って有益な情報であったのだ。


「二谷は、キジの運営者なんだよ・・・」


運営者とはキジから信頼を受けて、情報を受け取る者である。


と、言う事は・・・


木下は思い出した・・・二谷の名前を・・・





伝説のエージェントだ・・・・！！！