クライシス
「アナタは・・・伝説のエージェントと言われながら・・・今は交通課に追いやられている・・・」


木下が、そう言うと二谷はフッと鼻で笑った。


「使い捨てはハム(公安の事)のオハコだろ」


二谷は笑う。


「そんな事は無い・・・」


「そんな事は有るんだよ・・・」


二谷の言葉に木下は何も言い返せ無い。


「そもそも、俺は今は交通課だ・・・チヨダの仕事を手伝う気は無い」


二谷は、そう言うと天津飯を食べ出した。


木下は目の前に置かれたチャーハンには手を付けない。


「アナタは交通課と言えども警官だ・・・だから、警察の仕事をするだけだ・・・」


木下の言葉に二谷はチラッと見て答えた。


「詭弁だな、そりゃ」


「違う、意識の問題だ」


木下は二谷を見つめる。

「何が言いたい・・・」


二谷が呟く。


「協力して下さい・・・」


木下はそう言うと、突然テーブルに両手を置いた。


そして深々と頭を下げる。


「お願いします!日本の危機なんです!」


木下の言葉に二谷は横を向いた。


そして「チッ」と舌打ちをする。


「お願いします!」


木下が再び言った。


「辞めろ・・・」


二谷が呟いた。
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