クライシス

二谷はまだ熱く・・・そして青かった・・・


「はい・・・もちろん！」


二谷の返事に河野は満足そうに頷いた。


「君は・・・三宅・・・三宅一郎と言う男を知っているか・・・？」


その名前に二谷はすぐにピンて来た。


公安に身を置く者ならば、誰でもその名前を知ってる。


「赤軍・・・元赤軍のリーダーです・・・」


「その通り」


赤軍とは１９７０年代に社会主義革命の名の元に、次々にテロを起こした元学生のテロリスト集団である。


食べ物に困らず、民族の危機でも無いのに関わらず・・・ただの流行に身を任せて革命を起こそうとした・・・・馬鹿達の事。


「三宅を・・・逮捕したい・・・！」


河野は力強く言った。


「しかし・・・」


「その通り！」


二谷の言葉を遮る様に河野は言った。


「奴は、今は北朝鮮にいる」


河野は机に肘を置くと、目の前で手を組んだ。


三宅達は一旦逮捕されたが、赤軍の残党達が航空機をハイジャックした。


そして日本政府に三宅達の解放と北朝鮮への亡命を要求した。


日本政府は世界中の非難の中、その要求を飲み・・・三宅達を北朝鮮に送ったのであった。


「三宅は今も北朝鮮に居る情報をキャッチした・・・何としても奴を捕まえたいのだ・・・！」