クライシス
−11月15日20:00−

東京都千代田区首相官邸・・・


20時から始まった国家安全保障会議の議場には内閣の大臣の他に、官僚と様々な有識者が集められた。


「で?どこまで把握出来ているのかね?」


内閣総理大臣の桜井は尋ねる。


「はっ・・・まだ、テロの可能性が有るとまでしか・・・」


警察庁長官の篠原は答えた。


「全く分かって無い・・・と言う事か?」


官房長官が尋ねた。


「その通りであります・・・」


篠原警察庁長官は、冷や汗が流れる。


「防衛省は?」


桜井総理が防衛大臣を見る。


防衛大臣は振り返り幕僚長を見た。


幕僚長は立ち上がり答えた。


「防衛省では情報そのものが入って来ておりません・・・」


その答えを聞くと桜井総理は外務大臣を見る。


「もちろん、外務省には何も入っては来てないな・・・」


その言葉に外務大臣と外務省事務次官は下を向いた。


全員が黙っていた。


桜井総理は改めて、この国の情報量の少なさを痛感していた。


その時、会議室のドアが開いた。


「遅く成りまして申し訳ありません・・・大阪から東京までは遠いもんですな」


そう言って入って来たのは白髪が肩まで伸びた70歳位の人物であった。
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