クライシス
全員がその白髪の男を見た。


「ええと・・・」


桜井総理が少し慌てた感じで言うと秘書官の一人が慌てた様に言う。


「大阪府立大学の楠木教授です・・・ウイルスの専門家で今回オブザーバとしてお呼びしました」


秘書官の紹介を受けて、楠木はにこやかな表情で言った。


「嫌々、ただのウイルスマニアのジジイです・・・今回、フュージョンウイルスが発見された様で・・・」


そう言って席に着席した。


「そもそも、フュージョンウイルスとは?」


桜井総理が楠木に尋ねた。


「その前に、飲み物を頂いてもよろしいですか?喉が渇きましてな」


楠木の言葉に桜井総理は少しイライラした感じで秘書官に言う。


「先生のコーヒーを急がせて」


「ビールはございませんか?」


楠木が笑いながら言うと、全員が呆れた表情を浮かべた。


「冗談ですよ、こう言う時こそリラックスしないとね」


そしてフォフォフォと笑い声をあげた。


桜井総理は秘書官に耳打ちした。


「大丈夫か?ボケて無いのか?」


「一応、日本一の権威だそうです・・・」


秘書官は焦った表情で答えた。


桜井総理は溜息をついた。


コーヒーが楠木の前に到着すると彼はミルクだけを入れて、突然語り出した。
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