クライシス
警官が再度聞いたので留美は頷いた。


「うん。なーに?お巡りさん」


留美がそう言うとその警官は突然、目が赤くなり・・・涙をこぼした・・・


「すごい、留美お巡りさんと知り合いなん?」


周りの友達が聞いてくる。


「お母さんは・・・元気かな・・・?」


警官は再度尋ねた。


「うんお仕事に行ってるぅ」


「そうか・・・それは良かった・・・」


警官は鼻をすする。


「お巡りさん・・・お母さんを知ってんの?」


「ああ・・・うん・・・お母さんとはお友達なんだよ・・・」


「へえ!!!そうなん?お母さんってお友達にお巡りさんが居るんや!!」


留美は無邪気に喜んだ。


「うわ!!留美のお母さんお巡りさんとお友達なん???格好良い!!」


友達も喜ぶ。


警官は袖で涙をぬぐっていた。


「どうしたん・・・?お巡りさん・・・」


留美が心配そうに尋ねる。


「うん?・・・いや・・・」


そう言った時に後ろから声が聞こえた。


「三宅さん・・・!」


警官に扮した三宅が慌てて振り返る。


そこには額に汗を滲ませた若い男が立っていた。


それは拘置所に二谷と一緒に来ていて、先程見た若い男だった。


その男はニコやかな表情を無理して作り三宅に近づく。
< 91 / 274 >

この作品をシェア

pagetop