変わらないコーヒーの味
 そこに倒れていたのは、紛れも無く美紀。

 薄暗い夜でもネオンのお陰で、道路に赤い液体が広がっているのがわかる。

 美紀の血。


 「おい、美紀!何してんだよ!」


 周りの静止を振り切って、美紀を抱き起こす。

 スーツに血がつくのなんてお構い無しだ。

 額から血を流して、ただぐったりして目を開けない美紀を前に自分の視界がぼやけて行くのがもどかしかった。


 「死ぬなよ、美紀!目ぇ開けろよ!美紀!」


 何度も愛しい恋人の名前を呼ぶ。

 呼んでも、反応すら返ってこない。
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