変わらないコーヒーの味
 タカは、そう言うが早いか、空のカップを片手に立ち上がり、それをシンクに置いた。

 そのまま、ソファーから上着と鞄を手に取り、また戻って来て私を後ろから抱きしめる。


 「いってくる」

 「いってらっしゃい」


 こうしてタカは、毎朝私の知らない世界へと出ていくのだ。

 明日の朝、私がタカの口癖を聞く事は無い。
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