ーキミノイナイセカイヘー
ナツが運転席のドアを開けると中から頭が半分以上禿げ上がった男が降りてきた。

スモークがかった金縁眼鏡、金のロレックス、マオカラーのスーツ。

一見してアチラの方と判る風体。

因みに、左の小指は欠損済み。

噂では兄貴の代わりに落としたらしいが、そんな義理堅い男にはどうしても見えない。

どうせ逃げて連れ戻されてケジメをつけさせられたのがいいとこだろう。

(こんな奴の指で良かったんだろうか?親分は。鯉の餌になったのか?)

気になるトコロだ。

「おつかれさまですっ!」

一斉にカラフルな頭達が下がる。

「おう、明けまして有難さん」

西岡の言う事はいつも下らなさすぎてリアクションがとれない。

「お前ら、人がオモロい事言うたら遠慮せんと笑わんかい。ホンマつまらん奴らじゃのぉ」

「すいません」

「まぁええわぃ。それより、お前ら全員鮭としめ縄買えや。付き合いは大事にしようで。2つ併せてて15,000円。今月の会費と併せて20,000円。明後日集めて事務所持って来いや。じゃーの」
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