ーキミノイナイセカイヘー
全てに淋しさを組み込まれた哀愁の秋が終わり

全て無に帰すかのようなまっさらな冬がまた巡った。

十数回に渡る裁判の中で、ナツは一度だけ法廷でキレた。

それは今迄してきた事を無にする言動だった。

裁判は弁護士と検事が主に発言し、当事者のナツはそれを黙って聞くだけだ。

罪人を必死で庇う弁護人

何が何でも有罪にしたい検事

何を考えてるか判らない裁判官


偽善と美辞麗句の応酬の裏では3人の予めのディール[取引]がある。

裁判という舞台で繰り広げられる、笑えない茶番劇。

全ては出来レース。

八百長だらけの世の中で腐ってない所を見つける方が困難だ。

あまりの醜さに

「お前らうるせえー!!よく聞けよ。俺はアイツを殺す為に行ったんだよっ!殺意はありました。これが真実だ。」


騒然となった法廷でナツは退廷を命じられた。


(もぅ、好きにしてくれ)







あれから3ヶ月ようやく、審理は結審され決まった流で判決日になった。











検察側
求刑――――6年の懲役









判決

「主文。殺人未遂及び傷害の罪で被告人、中澤夏月を懲役3年の刑に処する」

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