ーキミノイナイセカイヘー
奥からナツの笑い声がする。

少しして、奥の部屋からナツが出て来てマイクを持った真似をする。

「皆様ぁ、大変長らくお待たせ致しました~。Mr.ヤンキィの登場ですぅ」

プロレスの入場ばりのナツの紹介でハチベーが小さくなって出て来た。

サンタフェのセーター
黒のスリータックスラックス
MCMのセカンドバッグ
ヤンキーグラス
紫の靴下
パーマーのサンダル
オマケの香水はタクティクス

誰が見ても時代遅れの田舎小僧。

「お前、人生で一番輝いてるぜ」

サリーが茶化す。

ナツが「キメの一言」と言うと

「ねぇちゃーん、茶ぁでもシバきに行くべぇよ」

まるで売れない漫才師の面白くない方のコントのセリフ並みに棒読みで喋った。

ナツがハチベーの額を叩く。

「痛っ、痛っ、痛ぁー」

先日スケボーでやられた所だ。

「お前、劇団ひまわりか?袈裟なんだよ。もっとビシッとセリフ言えねーのかよ。これじゃナンパは無理だな。仕方ない、作戦Bだ」
そうして、皆で外に出て行った。
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