ーキミノイナイセカイヘー
「えっと、う"ぅ"ん。いいかい?よ~く聞いておくれよベイベェ。俺のハートは今、悲しみの氷で厚く閉ざされているんだ。いやっ、チョット待って!もぅチョット聞いて。いい?その氷ったハートをリョーコちゃんの熱~い熱視線で溶かしてくれないかぃ?アッ....」

電話を一方的に切られたらしい。

「薬のやりすぎて遂にイカれたんじゃない?だってさ」

振り向くと、さっきまで向こうに居たサリーとコヤジも聞いていた。

「何でお前らまで居んだよ!ジャンケンしてねぇだろっっ!?」

「お前、世界一恥ずかしい奴だな」

サリーが冷たく笑いながらむこうに行った。

「ウルセー!ナツ、どーしてくれんだよ!?俺、リョーコちゃん3ヶ月も温めてきたんだぜ!ハァ~、俺の夏がどっか行っちまった~」

「お前、何で本命行くかなぁ。アホだねぇ」

「あ"っ!?だよなぁ~。クッソ、ハメられたぁー!!!!」





こうやって16歳は暴力とノリだけで駆け抜けていった。

哀しみなんて知る由も無いまま新しい夏が訪れようとしていた。




VanillaーEND

次回、新章突入!
いよいよ女の子の登場です。
お楽しみに。
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