【BL】ラブ・チューニング
分かってる。
分かってはいるんだ。
死んだ人が戻ってこないこと。
悲しんでも、何も生まないこと。
「そういや…、尚哉と喧嘩でもした?普段は一緒に登校してただろ?」
アイツ…一人で来てたみたいだけど。
思い出すような和也の言葉。
それは俺の核心に触れる。
「喧嘩して……、別れた」
「「!?」」
呟くように言った言葉。
それに反応する二人。
目を丸くする。
その言葉が似合うような顔をする。
「嘘……」
泣きそうな顔の裕紀。
「分かんなくなっちゃったんだ。尚哉との時間の過ごし方が。それで…」
「言わなくていい…もう」
そう言って和也は、俺の手と裕紀の手を引いた。