【BL】ラブ・チューニング


分かってる。
分かってはいるんだ。
死んだ人が戻ってこないこと。
悲しんでも、何も生まないこと。

「そういや…、尚哉と喧嘩でもした?普段は一緒に登校してただろ?」

アイツ…一人で来てたみたいだけど。
思い出すような和也の言葉。
それは俺の核心に触れる。

「喧嘩して……、別れた」

「「!?」」

呟くように言った言葉。
それに反応する二人。
目を丸くする。
その言葉が似合うような顔をする。

「嘘……」

泣きそうな顔の裕紀。

「分かんなくなっちゃったんだ。尚哉との時間の過ごし方が。それで…」

「言わなくていい…もう」

そう言って和也は、俺の手と裕紀の手を引いた。
< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop