白昼夢の少女
ぼくは少女の幻影を必死で追いかける。
もつれる脚。
夢のなかで必死で踏ん張りながら倒れそうな勢いでまた走り続ける。
「舞ちゃん、よかった間に合ったのか」
隣で泣いている少女。
「おね―ちゃんが。おね―ちゃんが」
駆けよるぼく。
「舞ちゃん逢いたかった。よかった間に合って
」
隣で泣いている少女はこう告げて立ち去った。
「私はおね―ちゃんじゃないわ。さようなら」
「まって、ぼくをおいてかないで!」
真っ白な影が森の中に消えてゆく。
「あれ? 舞ちゃんはどこ?」
白い花を摘みとる少女。
「これ、あげる」
「ありがとう。舞ちゃんてやさしいんだね」
ぼくの中で彼女は成長している。