【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
「土曜日だと学校休みじゃないですか。当日に渡したいのが女の子ってもんなんですよ〜」
「そういうもの……かな?」
「はい!金曜日だと“13日の金曜日”で縁起悪そうだし!!」
「はは……」
彼女はちゃっかりカレンダーまでチェックしていたらしく、当たり前のようにスラスラ答えた。
逆にあたしは“何もそこまで縁起を担がなくても”なんて気が引けて、軽く相づちを打つ程度。
もともとバレンタインだからといって特に気合いを入れるほうでもなかったから、力説する彼女の言葉にビックリしたんだ。
「“はは……”じゃないですよ、ミクさん!チョコは大事なんですから!」
そんなあたしに彼女は拳をグッと握ってさらに力説。今年は気合いの入りようが違う。
「そうだね。今年こそは作ったチョコ1人で食べなくても済むといいね」
「……ミクさん、それはナシですってば。思い出すと切なくなっちゃう……」
「あ、ごめんね?いや、その……応援してるんだよ?今年こそは!って」
「ほんとですかぁ?」
「ほんと、ほんと!」