【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
「ミクさんとセイジさんの話は知ってます。馴れ初めも転勤しちゃうってことも。イズミのためにも遠距離なんかに負けないでくださいよ!」
次の言葉が出ないあたしに、イズミちゃんは力強いエールを送ってくれた。
「そうだよね。イズミちゃんも頑張ってるんだもん、あたしも頑張らないと」
イズミちゃんに背中を押してもらったおかげで、あたしの中にも勇気のカケラがキラッと光った。
「その意気、その意気!どうせなら、ミクさんがチョコになっちゃうって手もアリなんじゃないですか?」
「やめてよ〜!なんかエッチっぽくない?それって」
「そんなことないですよ〜。乙女心ですってば〜」
「そうかな?」
「そうですよ!」
あたしたちは、それから恋の話に花を咲かせながら、上がりの時間までチョコを並べ続けた。
「お互い、いいバレンタインになるといいですね!」
ひと足早く上がるあたしに、イズミちゃんは最後にそう言って手を振ってくれた。
「そうだね、頑張ろうね!」
あたしも笑顔で手を振り返した。