【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
 
「そんなに身構えるなよ。長澤をクビにしようなんてことはないから」


あたしの気持ちが分かったのか、店長は軽く笑い飛ばした。


「じゃあ、なんですか?」

「長澤の彼氏、今度は新潟支店に転勤だと。だから不憫(フビン)でならなくてな。本店から今連絡が入ったから教えてやろうと思って」


店長はそう言う。


「すみません。わざわざありがとうございました。早くに聞けてよかったです」


あたしはそれだけ言うと頭を下げてすぐに持ち場に戻った。





あたしの彼氏・セイジとは、あたしが新入社員としてこのスーパーに配属になったときに出会った。


最初はあたしの指導係としてついてくれたセイジ。その頃セイジは25歳、あたしより3歳上だった。


1ヶ月ほどの新人指導を終えたあとも何かとフォローしてくれて、そのうちお互いに恋愛感情を持つようになって。


つき合いはじめたのがその年の秋頃だった。それからかれこれ4年半のつき合いになる。


そのセイジがまた転勤で、今度は新潟支店……ますます遠恋になっちゃう。
 

< 3 / 52 >

この作品をシェア

pagetop