【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
 
あたしはその日、寂しさに押しつぶされそうになりながら仕事をこなした。


セイジまでの距離は、物理的なところで言うと今は新幹線で1時間くらい。あたしにとっては、それだけでも遠い遠い距離。


1年前、突然セイジから「仙台に転勤になった」と言われたときもあたしは身が裂かれそうだった。


だけど、セイジの「たった1時間だろ?」という言葉に支えられ、セイジが隣にいない日々にもやっと慣れてきた1年後の今年の冬。


この1年本当に寂しかったんだ。


お花見も花火大会も、秋のお祭りも冬の人恋しい季節も……あたしの隣にはいてくれるはずのセイジがいないんだもの。


どんなに寂しかったことか……。どんなにセイジに会いたかったことか……。


「これ以上遠くに行かないでよ、セイジ……」


仕事帰り、人もまばらになった駅の待ち合い室で、あたしはさらに遠くなったセイジまでの距離に凍えそうになっていた。


今は1月の半ば。きっと、月末にはセイジは新潟へ転勤しちゃう。


寂しいよ。


会いたいよ。


セイジ……。
 

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