【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
 
「今年も甘い甘いミルクチョコだろ?ビターなんて似合わない。隠し味は……そうだな、ミクの愛ってとこ?」

「バカ……」

「おぉ〜!図星って顔してんな。ミクの考えてることなんて、俺にしてみれば簡単、簡単!」


負けた……。完敗に乾杯。


あたしの頭をポンポンとすると、セイジは陽気な鼻歌を歌いながらチョコを冷凍庫にしまった。


「ミクはずっと残るのが恥ずかしいんだろ?でもな、子どもが産まれたら見せたいんだ、俺」


背中を押されてまたベッドに入ったとき、セイジはニコッと笑って言った。


「なにを?」


あたしはまだ膨れたまま。女心まで見事に見破られて、それを分かっているのに意地悪するセイジがちょっと憎らしい。


「ん?自分からプロポーズできないカッコ悪い男だけど、それでもお前のママはパパと一緒になってくれたんだぞ、ってな。好きな女に世界一愛されてる男は俺しかいないって、そう言ってやりたいんだ」

「セイジ……」

「だから……な?」


ずるいなぁ、セイジ。そんなこと言われたらあたし……。
 

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