【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。
―――ブー ブー……
その時、あたしのかセイジのか、どちらかの携帯が震えだした。
すぐに鳴り止むかと思いきや、どうやら電話のようでなかな鳴り止まない。
「こんなときにまったくよ……」
セイジはチェッ!と膨れて自分の携帯と近くにあったあたしの携帯に手を伸ばした。
「ほい、ミクにかかってるみたいだぞ。イズミちゃんだって」
「あっ!」
あたしは名前を聞いたとたん、バッと携帯をもぎ取った。セイジは“何事だ!?”って顔できょとんとしてる。
すっかり忘れててごめん、イズミちゃん。イズミちゃんも今日は勝負の日だって言ってたんだった。
「もしもし、イズミちゃん?」
あたしは携帯を落としそうになりながら電話に出た。イズミちゃんは、今年こそはチョコを!って意気込んでいた。渡せたのか、それとも……。
「ミクさ〜ん……」
……どうしよう、電話の向こうで泣いてるよ、イズミちゃん。
「大丈夫だから。ゆっくりでいいから話してみて?なんでも聞くから。ね?」
「は、はい〜……」